「ITエンジニア 生き残りの条件」について

今月のSoftware Designの特集である「ITエンジニア 生き残りの条件」を読んでの感想。
タイトルの割に内容は凡庸だな、と思いつつも、従事者(一応ね)としてはやっぱり意見しておきたい。
記事でも指摘している通り、ITゼネコンの重層構造は確かに崩壊しているのだろう。僕の周りでもそういう実感はある。
一方、記事中で、ITゼネコン(SIer)の凋落と、ネット関連企業を並べているのには違和感を感じた。後者は今まさに激しい勝負の真っ最中であって、勝者しか生き残らないような戦いをしている。そこに優秀なエンジニアが必要なのはもちろんだろうけど、少々次元の違う話だろう。
僕は、これまで、この産業でこれだけの人数を養えていたことが異常だったのではないかと思う。
ソフトウェア開発というのは高度に知的な作業だから(だよね?)、個人の能力によって生産性は激しく異なる。これは関係者なら誰でも同意するだろう。なので、今は「全体としてちゃんとした能力をもつ会社」が選別されていく過程にあるのだろうと理解している。
あと、記事中ではオフショアについても言及されていたけれど、僕はオフショア開発にはあまり肯定的ではない。
ソフトウェア開発の期間はビジネス上の要請でどんどん短くなっている。そして、それは実現可能になっている。僕は環境や要素技術などの進歩によって可能になっていると言いたいが、単に現場が無理をしているだけということもあるかもしれない。
そういう状況の中で「外国に出す」というオーバーヘッドは許容できないケースの方が多いだろう。なので、オフショア開発がどんどん増える、ということにはならないと思っている。
もちろん、大規模なシステム開発においてはこの限りではないだろう。
ただ、大規模なシステムもこれからは減っていくだろうと思っている。それは計算機の能力向上、銀行や自治体の統合、この国の人口の減少、など色々な理由があるから。
結果として、顧客企業の発注コストの低下は、単純にIT産業従事者全体の給与原資の低下につながるだけだろう。
産業の規模を縮小するか、給与減少を甘んじて受け入れるか。今、この産業が転換点にあることは間違いない。

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