UMTP L3合格

UMTP L3を受けて、無事合格(知識8割、モデリング8割)した。
知らない人のために書いておくと、これはUMLでモデリングするスキルの検定。L1、L2は以前からやっているけど、L3は今年始まったばかり。
今回は久しぶりに真面目に取り組んだので、ちゃんと記録しておく。
モデリングの問題は3問あって、全部で120分なので、だいたい20~30分で取り組むことになる。テクニカルエンジニアの午後1を知っているなら、ノリとしては似た感じを受けるかも。
まず、モデリング力をCBTで測ろうというのは、無理のあることだと感じた。例えば、ある程度の規模のクラス図などを、ミスなしで穴埋めするような作業が必要になる。これはなかなかプレッシャーのかかる作業だ。そういう強迫的なやり方は精神衛生に良くない。モデリングとはもっと創造的でのびやかな作業なのではないだろうか、と反抗的になりながら解いた。
一方、問題文およびモデルはよく練られており、感心した。こなれた日本語や、ちょっとしたJokeが散見され、読んでいて楽しい。また、時間との兼ね合いも考慮されており、無茶なことが要求されている訳ではない。ある種のゲーム感覚で楽しめると思う(とか言う僕はちょっと変かも)。まあ、普段まじめにモデラーをしているような人が落ちることはないと思う。
ただし、真のモデラー(?)なら、出題のモデルとかなり違うモデルを思いついたり、細かいことが気になったり、どうでもいいと感じる箇所に手を抜いてミスをするなどで、結局点数がとれない危険があるかもしれない。僕はそのレベルの人じゃないから分からないけど、該当する人は深入りせずにあっさり流した方がいいと思う。ゲームなんだし。
いろいろと思うところはあるけれど、L3試験の問題ができ上がり、こうして試験を開始したことにまずは敬意を表したいと思う。この試験が日本の業界全体のレベルを上げる方向に作用したらいいな(何様?)。
ちなみに私が試験対策として読んだものを書いておく。ご参考までに。
・UMLモデリングのエッセンス 第3版

僕はUML1.4か1.5くらいの時に図を覚えたので、2.0はあんまり把握していなかった。なので、これはUMLの解説書として読んだ。この本は薄いし読みやすいし、一冊目として読むのに最高じゃないかと思う。しかも、さすがマーチン・ファウラーの著作、あっさりした記述の中に知恵がぎっしり詰まっている。ただのハウツー本とは一味違う。また、関連書籍の紹介も豊富。これは手元に置いておく価値があるなと感じる。
この本で扱っているUMLは結構おおざっぱだけど、この程度まで知っておけばだいたい大丈夫だと思う。ただし、この本ではOOAD(オブジェクト指向分析設計)については直接には説明していない。ネタとして扱っている箇所はあるけど、これはあくまでもUMLの本。
・UMLモデリングの本質

この本は、モデリングの考え方や、開発におけるモデリングのやり方などを扱っている。何をクラスにするのかとか、どういう関係のクラスにすべきか、といった点について、一定の見解を与えてくれる。また、順を追ってクラス図を洗練していく(著者は「揺さぶり」と呼ぶ)様子などは、モデリング現場の臨場感がある。説明は丁寧であり、わかりやすい点も好印象。UMLの図を一通り知った人が次に読むとよいのではないだろうか。
筆者の考えるOOADのスタイルがどうもしっくりこない、という人もきっといると思うけれど、まずは一読をお勧めする。
あと、出題範囲として明記されているOCLについても、この本に解説されている。個人的には、OCLの表記ってなんなんだと思うけれど、SQLを知っていればそれほど抵抗なく読めると思う。
・実践UML 第3版

この本は、UPのアプローチについて書いている。なのでUMTPと直接関係がある部分は少ないが、OOADについて触れている箇所(第17章 GRASP:責任駆動のオブジェクト設計)もあるので、そこを中心に読むとよい。
多くのことを扱っているのでページ数は多い(700ページ余)が、割と丁寧に書かれているので、それほど読みにくくはない。一度は全部読んでおきたいけど、まだ途中。アジャイルな開発プロセスについて一通り触れてみたい人は読むといいと思う。ただし、SIerでウォーターフォール(もどき)をしている人には、違和感があるかもしれない。
・JavaプログラマのためのUML

実装の視点から、UMLやOOAD、あとはいくつかのテクニックを紹介するという感じの本。OOADについて触れている章を読むとよいかも(第6章 オブジェクト指向設計の原則)。「こういうクラスが理想だ」という原理原則が並んでいる。
原理原則はわかってるけど、実際そうならないことが往々にしてあるから悩ましいわけで、あまりタテマエだけ並べられると、ちょっと萎えるよなあ、とも感じた。
あと、著者の独特の見解がわりと目立つ気がする。というか、論点の運び方が適当だ。それについていけずにダメと感じる人も多そうに思う。
コード例はたくさんあるので、実装から考えたい人には良いかもしれない(コードはあまり見てないので、良し悪しは分からない)。
(2008/8/22追記)
合格の認定証が届いた。どうも34番目の合格のようだ。想像以上に少ないなあ。

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